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車の出会い

2014-12-08

深夜の伊豆スカイライン、俺は愛車の“HONDAS800”を思い切り飛ばしていた。
真夏の深夜の伊豆は、東京よりは幾分涼しく、エアコンなど装備がない時代の車に乗る身には有難かった。この車、なんと43年も前の車のだから、見る人が見れば判るのだろうが、知らない人にとっては、まるっきりゾンビのようなものだろう。おまけに、新車のようにきれいにレストアしたこのエスハチは、もしかしたら、HONDAの新型車に見えるかも知れない。
快調なエンジンを目いっぱい回して、ちょっと長めのストレートを駆け抜け、迫ってくる中速コーナーにアプローチを決めるため、ブレーキングを開始。フルブレーキングから、ヒールアンドトウでシフトダウンをし、4速〜3速に落とす。エンジンの回転数は4000/RPM以上をを保ち、気持ちよくスロットルに反応する。軽くテールスライドを起こしている状態を、これも軽くカウンターを当てて姿勢を保つ。俺のいう通りにエスハチは踊るように、滑るようにコーナーをクリアーして行く、はずだった。
突然目の目に現れた人影に、俺はぶったまげて、エスハチをスピンさせるようにして停めた。
そこには、両手を広げて行く手を阻むようにして、若い女性がたっていた。
彼女は、スピンのためにたち昇ったタイヤスモークが晴れないうちに、俺の方へ駆け寄ってきた。
「すいません、本当に驚かせてしまって申し訳なく思います。でも、助けてください。車が動かなくなっちゃって、どうしても伊豆の病院に行かないといけないんです。お爺ちゃんが危篤なんです。せめて、最後ぐらいは付き添っていたいんです。我が儘勝手な孫でしたけれど、本当にお願いします。私を伊豆の病院に連れていってください。お願いします」と、一気に捲くし立てた。
彼女が出てきたであろう方向を見ると、月明かりに一台のヨタハチ(TOYOTAS800)が、黄色と思われる車体のボンネットから、薄い煙をあげて息の根を止めていた。
ヨタハチは空冷エンジンなので、水蒸気では絶対にない。と言うことはOIL系統の可能性が高い。この場で直すことは、先ず無理だろう。
「いいよ、道は知ってるの?」と訊くと「はい、知っています」
これだけの会話で、彼女はパッセンジャーシートに勝手に乗り込んできた。俺は、エスハチに思い切り鞭を入れて、その場を飛び出した。
「この車、“HONDAS800”ですよね。凄い車に乗ってますね。おまけに、凄く快調そうだし」と、さっきまでの泣きそうな顔からは想像できないぐらい、晴れやかな顔をして、コックピットの隅ずみまで眺め、フロントスクリーンから見えるボンネット上の“パワーバルジ”を指さして「あのバルジって、機械式のインジェクションを入れるために出来たけれど、実際には京浜精機のキャブになっちゃって、その名残なんですよね」などと、一人で興奮していた。
スカイラインの終点までは、あっと言う間に到着。その後は彼女のナビゲーションに従い、無事に病院についた。
彼女が降りるときに「良かったら、ヨタハチのキーを俺に預けて。知り合いのメカニックを呼ぶことができる。それと、差しさわりが無ければ、連絡先を教えて。そうしたら、ヨタハチが治ったら、指定の場所まで運ぶことができるぜ」
「え!、そんな〜、ここまで送っていただいただけでも、本当に申し訳なく思っているのに、ジョニーの御面倒までおかけする訳にはいきませんから」
「え!ジョニーって、ヨタハチの事」
「はい、彼はジョニーって言うんです」と彼女が言う。俺は可笑しくなって、思わず場所もわきまえずに、声をあげて笑ってしまった。
その後、メカニックの隆達の奮闘により、ヨタハチは息を吹き返した。思った通りOIL系統だった。しかし、単純に古くなったヘッドガスケットが、高回転に耐えきれずに吹き抜けただけだったので、思いのほか早く治り、彼女に連絡を入れたら、こちらも幸いな事にお爺ちゃんが持ち直したと言うことだった。
そして、あれから三ヵ月たって、今、彼女は俺のスティディーな彼女になっている。
女性としては極めて珍しい“旧車ファン”で、これも車が取り持つ縁なのだろう。
エスハチとヨタハチに感謝している、今日この頃だ。

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